2008年11月26日
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『本が涙でできている16の理由 ドキュメント! 感動の「個人出版」
木部克彦 著
彩流社発行、208頁、定価1680円、08年7月発行


本は編集者が魂で支えている

  映画を観て涙を流すことはある。しかし、編集者という職業柄なのか、今まで私は本を読んで涙を流すことはなかった。覆された。
 本書は、編集者木部氏が、今までに手がけた本の制作過程を、著者の様相や著者とのやりとりに焦点をあてた。会話の場面が多い。16人の著者の、本をつくりたい目的や本への思い入れがよく伝わる内容だ。もちろん編集者としての支えは随所に見られる。時にそれが及ばなかったのではと悩む場面や、著者の背中を力強く押す場面もある。
 なかなか読み進められなかった。涙を誘うからだ。おそらく一般読者としてのそれとは異なる。著者の人生に感激しただけではなく、編集者として、著者と相対する際に感じる木部氏の思いが自分と重なる。それが余計に涙の理由を複雑にする。
 木部氏は、「はじめに」で最近の自費出版に関するトラブル報道に憤る。そして、「僕は思います。ここらで本づくりの原点に立ち帰りませんかと。いろいろな人が、思い思いの本を出版するのは、『人生の宝物』を作る、実に感動的な世界にほかなりません」と。
 かつてMBC21は、『自費出版体験集』『自費出版実践録』(共に東京経済刊)などで著者の思いや本づくりの過程を伝えてきた。そこに私は自費出版の世界の醍醐味を垣間見た。それから二十年近くが経ち、このところの一連の動向から、私も本づくりの原点を見直したい思いになった。そのような中で出会った本書は、著者と編集者の両者にすすめたい。本をつくる心を著者は感じてほしいし、編集者にはそれを魂で支えて本をつくってほしいからだ。そして、私は自分にも戒めるのである。

(神門武弘・JEF会員)

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